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宿業 予告編

 

白き都ミナス・ティリスは、ボロミアが白の塔の総大将となって8年目の春を迎えていた。

都の官邸では執務室の、西に向く窓辺から執政・デネソールが園庭に咲くロスイアの、風にそよぐ薄青の花弁に目を注いでいた。

執務机の上にはファラミアのゴンドール正規軍復帰を上申する羊皮紙がある。

「父上」

次男の声に窓外から次男の顔に視線を巡らせデネソールが言った。

「嘗てこの白き都に星の鷲と呼ばれた男が在った」

思い設けぬ父の言葉に戸惑う息子から視線を逸らさぬままデネソールは執務机へと足を運び、机越しに険しい眼で父を視る次男と対峙した。

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